JR西日本グループの商業施設「ルクア大阪」は、徹底したファクトベースのマーケティング戦略により、大阪・梅田エリアで圧倒的な支持を獲得しています。
本記事では、ルクア大阪やバルチカ03(おっさん)の開発を手がけたJR西日本の舟本氏へのインタビューをもとに、実践的な顧客起点マーケティングの手法を解説。マーケティング初心者の方でも理解できるようお伝えします。
ルクア大阪の開発背景と戦略
ルクア大阪は2011年5月に開業し、2015年にルクアイーレを加えた2館体制となった大阪・梅田を代表する商業施設です。
ルクア大阪の沿革
ルクア大阪の開発は段階的に進められました。
| 時期 | 出来事 |
| 2011年5月 | ルクアと伊勢丹の2館体制で開業 |
| 2013年 | 伊勢丹が撤退 |
| 2014年 | 約1年間の改装工事 |
| 2015年 | ルクアイーレとして再開業、2館体制確立 |
伊勢丹の撤退は、梅田エリア全体の競争戦略における重要な転換点となりました。舟本氏は「リーダー戦略を採用している企業が梅田になかった」ことが撤退の一因だと分析しています。
競争地位戦略の重要性
競争地位戦略とは、市場における自社の立ち位置(リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャー)を明確にし、それに応じた戦略を立てるマーケティングの基本フレームワークです。
伊勢丹撤退前の梅田エリアでは、主要な商業施設がすべてチャレンジャー戦略(市場シェア2位以下の企業が、リーダーに挑戦する戦略)やニッチャー戦略(特定の顧客層に特化する戦略)を採用していました。
この状況では施設同士が潰し合い、エリア全体の魅力が低下するリスクがありました。そこでルクアイーレの開発時、舟本氏のチームは以下の判断を下しました。
- ルクアとルクアイーレで合計5万3,000㎡の売場面積を確保
- 阪急百貨店には及ばないものの、梅田エリアでリーダー戦略を採用できる規模
- ルクアが20代をカバー、ルクアイーレで30代・40代を抑える
- オールターゲット・フルライン戦略で市場全体を拡大
この戦略の結果、ルクアイーレ開業初年度には周辺商業施設の売上が前年比5%増加し、駅乗降者数も5%増加しました。
市場全体が拡大すれば、最大シェアを持つリーダーが最も利益を得るという理論が実証されたのです。
ファクトベースドマーケティングの実践手法
舟本氏のチームが徹底しているのは、推測や感覚ではなく、客観的なデータと顧客の声に基づいて意思決定を行う「ファクトベースドマーケティング」です。
基本的な調査プロセス
ルクアのマーケティング調査は、以下の2段階で実施されます。
ステップ1:Webアンケートで仮説構築
まず、定量調査(数値データで傾向を把握する調査手法)として、数千人規模のWebアンケートを実施します。この段階で市場全体の傾向を把握し、仮説を立てます。
ステップ2:グループインタビューで検証
次に、定性調査(少数の対象者から深い洞察を得る調査手法)として、グループインタビューを行います。Webアンケートで構築した仮説の精度を上げ、顧客の本音や行動の背景を深掘りします。
この2段階のアプローチにより、数字だけでは見えない顧客インサイト(顧客自身も気づいていない潜在的なニーズや動機)を発見できます。
デプスインタビューの活用法
新規開発など、まったく手がかりがない場合には、グループインタビューの前にデプスインタビュー(1対1で深く掘り下げる個別インタビュー)を実施します。
舟本氏は、街で過ごしている人を無作為に抽出し、「ちょっと話を聞かせてください」と声をかけてインタビューを行います。
この段階で「こういう人たちにペインポイント(顧客が抱える課題や悩み)がありそうだ」という仮説の種を見つけるのです。
バルチカ03(おっさん)の開発プロセス
2024年7月31日に開業したバルチカ03(バルチカおっさん)は、徹底した顧客調査から生まれた画期的なコンセプトの飲食施設です。
開発の制約条件と戦略
バルチカ03の開発には、以下の制約がありました。
- オフィスビルの中層階(3〜5階)での商業開発
- 店舗面積はわずか3,000㎡(ルクア全体の5万3,000㎡に対して)
- 1階や2階にはテナントを配置できない立地
このような制約から、自然とニッチャー戦略(特定の顧客層に特化する戦略)の採用が決定されました。
問題は「どのニッチマーケットにフォーカスするか」です。
24人のマトリックス調査
舟本氏のチームは、梅田で過ごす人々を以下のように分類しました。
| 属性 | 男性 | 女性 |
| ワーカー(平日利用) | 10代〜60代 | 10代〜60代 |
| レジャー客(休日利用) | 10代〜60代 | 10代〜60代 |
このマトリックスを埋めるため、知り合いのツテを辿って24人(4セグメント×6年代)にデプスインタビューを実施しました。
唯一困っていた顧客層の発見
調査の結果、梅田で唯一困っていたのは「30代・40代・50代・60代の男性ワーカー(おじさんたち)」だということが判明しました。
彼らが抱えていた課題は、以下の通りです。
- ルクアやグラングフロント、阪急百貨店は非日常的な価値を提供しており、日常使いには価格が高い
- ランチは1,500円以上が標準で、毎日は利用できない
- 女性は軽いサラダやサンドイッチで1,000円程度に抑えられるが、男性は満腹になる必要があり1,500〜1,600円かかる
- コロナ前に通っていた大阪駅前ビルや新梅田食堂街、東通り商店街の店舗が閉店
- コロナ後、若者向けのネオン系バーが増え、おじさんたちには入りにくい雰囲気
Webアンケートによる仮説検証
デプスインタビューで仮説を得た後、梅田で働く数千人の男性にWebアンケートを実施し、この課題が広範囲に存在することを確認しました。
この調査プロセスにより、「梅田で働くおじさんたちのための日常的な飲食施設」というコンセプトが確立されました。
9セグマップを活用した既存顧客分析
既存施設の運営改善には、西口一希氏が提唱する「9セグマップ」を活用しています。
9セグマップとは?
9セグマップは、顧客を以下の9つのセグメントに分類する顧客起点マーケティングの手法です。
分類のための4つの質問
- その施設を知っていますか?(認知)
- 使ったことがありますか?(利用経験)
- 利用頻度はどのくらいですか?(頻度)
- 次も利用したいですか?(継続意向)
9つのセグメント
| 顧客層 | 特徴 |
| ロイヤル顧客(ポジティブ層) | 購買頻度が高く、ブランドへの愛着も強い層 |
| ロイヤル顧客(ネガティブ層) | 購買頻度は高いものの、ブランドへの愛着はそれほど強くない、競合他社の商品・サービスに乗り換える可能性が高い層 |
| 一般顧客(ポジティブ層) | 購買頻度は平均的だが、ブランドへの愛着は強く、ロイヤル顧客になる可能性が高い層 |
| 一般顧客(ネガティブ層) | 購買頻度もブランド選好度も平均的な層 |
| 離反顧客(ポジティブ層) | 以前は購入していたが、最近は購入していない、再購入を促せる可能性が高い層 |
| 離反顧客(ネガティブ層) | 以前は購入していたが、最近は購入しておらず、ブランドへの愛着も低い層 |
| 認知・未購買顧客(ポジティブ層) | 購入経験はないが、ブランドを知っていて、購買意欲も高い層 |
| 認知・未購買顧客(ネガティブ層) | ブランドを知っているものの、購買意欲は低い層 |
| 未認知顧客 | ブランドを知らない層 |
※西口氏の著書『顧客起点マーケティング』
競合施設の動向把握
9セグマップの強力な点は、自社施設だけでなく、競合施設の顧客動向も同時に把握できることです。
舟本氏のチームは、1回の調査で最大10施設(自社1施設+競合9施設)の9セグマップを作成します。これにより、以下が可能になります。
- ルクア、グラングフロント、阪急百貨店などの9セグマップを把握
- 競合の強み・弱みを客観的に理解
- エリア全体の課題を発見
- 潰し合いではなく、共存共栄の戦略立案
相手の商業施設をぶっ倒してやろうという戦略ではなく、梅田全体、大阪全体、経済全体を上げていくという考え方です。
立地の悪さを強みに変えた戦略的思考
バルチカ(初代)の開発では、不利な立地条件を逆手に取り、独自のコンセプトを確立しました。
地下という「下手」な立地
ルクアイーレの地下にあったスペースは、もともと伊勢丹のVIPカードサロン、ATMコーナー、辻調理専門学校の料理教室など、目的性の高い施設が入っていました。
これらの施設が配置されていた理由は単純で、「行きにくい場所だから」です。
伊勢丹撤退後、このスペースをどう活用するかが課題となりました。
グループインタビューから得た「裏難波」
30代女性を対象としたグループインタビューで、「不便な場所だけれども、わざわざ行く場所」を尋ねたところ、口を揃えて出てきたのが「裏難波」でした。
裏難波が支持される理由は、以下の通りです。
- 低賃料:金物屋の倉庫跡など、表通りに比べて賃料が安い
- 高原価率:スタートアップの個人店が賃料の安さを活かし、原価率を高めて提供
- コストパフォーマンス:安くて美味しい料理が楽しめる
- エモさ:若者にとっては昭和的な雰囲気も魅力
原価率37.5%以上という基準
舟本氏のチームは、裏難波で30代女性が「美味しい」と評価している店舗を調査し、平均原価率が37.5%以上であることを発見しました。
この発見から、バルチカのコンセプトが確立されます。
- 平均原価率37.5%以上の店舗を誘致
- 場所が悪い分、賃料を下げて出店者の負担を軽減
- 大阪駅のど真ん中に「裏難波」のような空間を創出
これは感覚やアイデアではなく、徹底的に顧客の声を聞き、データで検証した結果です。
失敗事例から学ぶマーケティングの落とし穴
ルクアイーレ開発時、以下の顧客セグメントを設定しました。
- メインターゲット:30代半ばのOL・キャリア女性
- サブターゲット1:30代前半のOL
- サブターゲット2:バリキャリ(外資系企業などで高収入の女性)
- サブターゲット3:ママ層(ベビーカー利用者)
しかし、バリキャリ向けに誘致したグローバルブランドは、予算比20%という大失敗に終わりました。
失敗の原因としては、開業半年後の定点観測調査で判明した、グループインタビューで「見栄を張る人」がいたという事実です。
- 実際には購入していないのに、ブランド志向を強調する発言
- 調査手法の課題(グループインタビューでは本音が出にくい)
- チームのノウハウ不足
この失敗から、舟本氏のチームは調査手法の改善とデータの多角的な検証の重要性を学びました。
情報化社会におけるコミュニケーション戦略
現代の消費者行動を理解し、最適なコミュニケーション手法を選択することが重要です。
能動的情報収集と受動的情報遮断
舟本氏の調査によると、現代の消費者は以下の特徴を持っています。
- 能動的情報収集:SNSやGoogle検索で興味のある情報のみを深掘り
- 受動的情報遮断:興味のない情報(LINE配信、広告など)は意図的に遮断
この結果、予定調和の情報収集となり、セレンディピティ(偶然の出会い)が失われています。
1周回った物理的・受動的な情報接触
消費者がセレンディピティを求めるのは、リアルな物理的空間です。具体例は、以下の通りです。
- 商業施設で目的の店に行く途中、工事中の仮囲いのポスターで新店を知る
- 新聞の折り込みチラシで初めて情報に接する
- 雑誌の特集記事で発見する
バルチカ03の主要な広報媒体は、テレビCMではなく「雑誌」と「オフラインの情報誌」でした。
PR戦略の重要性
ルクアでは専属のPR担当者を配置し、テレビ番組の取材を積極的に誘致しています。
CMではなく、バラエティ番組や情報番組での紹介が、大阪のミーハーな気質を持つ顧客に最も響くからです。
ポイント経済圏による顧客囲い込み戦略
JR西日本グループは、2023年に「WESTERポイント」を統合し、グループ全体のポイント経済圏を構築しました。
従来の課題
以前のJR西日本グループのポイント制度には、以下の課題がありました。
- ルクア、天王寺など、施設ごとに異なるポイント制度
- 各施設でしか貯まらず、使えない
- J-WESTカード(新幹線予約)やICOCA(電子決済)も別のポイント制度
楽天ポイント経済圏のように、「いろんなところで貯まり、いろんなところで使える」入口と出口の多様性がありませんでした。
WESTERポイントのメリット
WESTERポイントにより、以下が可能になりました。
- ルクアでの買い物で貯めたポイントを新幹線のグリーン車へのアップグレードに使用
- 新幹線利用で貯めたポイントをルクアでの買い物に使用
- ICOCAへのチャージも可能(ほぼ現金化)
統合から約1年で、会員数は大幅に増加し、利用者数も増えています。
再現性のある組織的マーケティング手法
舟本氏が最も重視するのは、個人の才能に依存しない「再現性」です。
天才型と体系型の違い
マーケティングには、2つのアプローチがあります。
| アプローチ | 特徴 | メリット | デメリット |
| 天才型 | 感性やプロダクトアウトで顧客を獲得 | 革新的なヒットを生む可能性 | 再現性がなく、属人的 |
| 体系型 | ファクトベースと基礎フレームワーク | 再現性があり、組織で継承可能 | 画期的な発想は生まれにくい |
百貨店のバイヤーのように、自身の舌で選んだ商品を物産展で当て続ける天才肌の人材は存在します。しかし、組織として持続的に成長するには、体系型のアプローチが不可欠です。
基礎フレームワークの徹底活用
舟本氏のチームが使用するのは、「大学時代に学ぶような基礎的なフレームワークのみ」です。主要なフレームワークは、以下の通りです。
- SWOT分析:市場を冷静に俯瞰(強み、弱み、機会、脅威を分析)
- 競争地位戦略:リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの選択
- STP:セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング
- 9セグマップ:顧客を9つに分類し、行動を予測
これらのシンプルなフレームワークを愚直に実行することで、誰でも一定水準以上のマーケティング戦略を立案できます。
意思決定のブレをなくす仕組み
ファクトベースのマーケティングには、以下のメリットがあります。
- 客観的判断:「こうだろう」「こうあったらいいな」という主観を排除
- 合理的な優先順位:データに基づき、どの店舗を誘致すべきか明確
- 社内コンセンサス:上司も部下も納得できる説明責任
- 失敗時の検証:何が問題だったか明確に分析可能
舟本氏は「基本的には苦労はない。ノンストレスでやっている」と述べています。
マーケティングは「負けない方法」の教科書
舟本氏は、マーケティングを「勝ちに行くというよりは負けない方法の教科書」と表現しています。
成功の再現性の限界
商業施設開発において、成功事例をそのままコピー&ペーストしても成功しません。なぜなら、以下の要素が異なるからです。
- 立地条件(駅の乗降客数が同じでも、周辺環境は異なる)
- 競合状況(その地域特有の競合関係)
- 生活者の特性(地域ごとの文化や嗜好)
同じ乗降客数10万人の駅でも、まったく同じ施設を作って成功する保証はありません。
基礎フレームワークの普遍性
一方、基礎的なマーケティングフレームワークは、どの環境でも適用できます。
新しいツールや手法に飛びつくのではなく、「長年の風雪に耐えてきたフレームワーク」をシンプルに実行することが最も効果的です。
舟本氏のアプローチは、以下の原則に基づいています。
- 最小限の確実な施策のみを実行
- 新しいSNSやツールには安易に手を出さない
- 顧客の声とデータに基づく検証可能な戦略
ファクトベースドマーケティングのポイント
ルクア大阪とバルチカ03の成功事例から学べる、実践的なマーケティング手法をまとめます。
ポイント1:競争地位戦略を明確にする
市場における自社の立ち位置を正確に把握し、適切な戦略を選択してください。潰し合いではなく、市場全体の拡大を目指すリーダー戦略が理想です。
ポイント2:2段階の調査で仮説検証を徹底する
- Webアンケート(定量調査)で全体傾向を把握
- グループインタビュー(定性調査)で深掘り
- 必要に応じてデプスインタビューで仮説の種を見つける
ポイント3:9セグマップで顧客を可視化する
自社だけでなく競合の顧客動向も把握し、市場全体を俯瞰した戦略を立案してください。
ポイント4:制約を逆手に取る発想力
立地や面積などの制約条件を「弱み」ではなく「独自性」に変える視点を持ってください。バルチカ03は、中層階という不利な条件から、目的性の高い顧客層に特化する戦略を導きました。
ポイント5:基礎フレームワークを愚直に実行する
新しいツールやトレンドに惑わされず、SWOT分析、競争地位戦略、STPといった基礎的なフレームワークを徹底的に活用してください。再現性のある成功は、シンプルな原則の積み重ねから生まれます。
マーケティングに関してよくある質問
Q1:ファクトベースドマーケティングとは何?
ファクトベースドマーケティングとは、推測や感覚ではなく、客観的なデータと顧客の声に基づいて意思決定を行うマーケティング手法です。
ルクアでは、Webアンケート(定量調査)で全体傾向を把握し、グループインタビュー(定性調査)で深掘りする2段階アプローチを採用しています。
基礎的なフレームワーク(SWOT分析、競争地位戦略、9セグマップなど)を愚直に実行するだけなので、特別な才能がなくても再現可能です。
Q2:9セグマップとは?どのように活用すればいい?
9セグマップは、顧客を「認知」「利用経験」「頻度」「継続意向」の4つの質問で9つのセグメント(ロイヤル顧客、一般顧客、離反顧客など)に分類する手法です。
ルクアでは、1回の調査で自社と競合9施設の計10施設の9セグマップを作成し、競合の強み・弱みを客観的に把握しています。
これにより、潰し合いではなく、市場全体を拡大する共存共栄の戦略が立案できます。
Q3:なぜバルチカ03はおっさんをターゲットにした?
24人のマトリックス調査(性別×年代×ワーカー/レジャー客)を実施した結果、梅田で唯一困っていたのが「30〜60代の男性ワーカー」だと判明したためです。
彼らはルクアなどの施設が非日常的で価格が高く日常使いできない、コロナ後に通っていた店が閉店し若者向けの店が増えて入りにくいという課題を抱えていました。
この明確なペインポイントの発見が、「おっさん」特化というコンセプトにつながりました。
Q4:グループインタビューで失敗した「見栄を張る人」とは?
ルクアイーレ開発時、グループインタビューでバリキャリ層が「グローバルブランドを好む」と発言したため誘致しましたが、実際には予算比20%の大失敗に終わりました。
開業半年後の調査で、インタビュー参加者が実際には購入していないのにブランド志向を強調していたことが判明。
グループインタビューでは本音が出にくいという調査手法の課題を学び、以降はデータの多角的な検証を徹底するようになりました。
Q5:なぜルクアはテレビCMではなく雑誌やPRを重視する?
現代の消費者は「能動的情報収集」(興味ある情報のみ深掘り)と「受動的情報遮断」(興味ない広告は遮断)の特徴を持ち、セレンディピティ(偶然の出会い)が失われています。
消費者がセレンディピティを求めるのはリアルな物理的空間であり、商業施設の仮囲いポスターや雑誌の特集記事、バラエティ番組での紹介が効果的です。
特に、大阪のミーハーな気質を持つ顧客には、CMよりもテレビ番組での自然な紹介が最も響くためです。
まとめ
マーケティングの本質は、顧客の声に耳を傾け、データで検証し、基礎に忠実に実行することです。
舟本氏の事例が示すように、特別な才能や画期的なアイデアがなくても、ファクトベースドなアプローチと基礎フレームワークの徹底で、持続的な成功を実現できます。
マーケティング初心者の方は、まず以下のステップから始めてみてください。
- 顧客に直接話を聞く(デプスインタビュー)
- アンケートで仮説を検証する(定量調査)
- SWOT分析で市場を整理する
- 競争地位戦略で自社の立ち位置を明確にする
- 9セグマップで顧客を分類する
「負けない方法」としてのマーケティングを実践し、着実な成果を積み重ねていきましょう。
出典:YRK& リブランディング チャンネル『「バルチカ03(おっさん)」開発の裏側と顧客起点マーケティングの極意に迫る。【JR舟本氏 商業施設のヒットメーカーから伝授!】-01』

