SNS運用で成果を出すには、「認知拡大」と「顧客獲得」を分けて考え、ターゲット層に刺さるコンテンツ設計が不可欠です。
本記事では、ど素人ホテル再建計画氏による実際のコンサルティング事例から、効果的なSNS戦略の立て方を解説します。
SNS運用で失敗する企業の共通点
多くの企業がSNS運用で成果を出せない理由は、目的が曖昧なまま発信しているからです。
認知拡大とコンバージョンを混同している
SNS運用では「認知を取るアカウント」と「CVするアカウント」を明確に分ける必要があります。たとえば、令和の虎で認知を取り、フランチャイズチャンネルでCVするという戦略が効果的です。
| 目的 | 適した媒体 | コンテンツ例 |
| 認知拡大 | TikTok、Instagram、YouTubeショート | エンタメ性の高い企画、プロセスエコノミー（※） |
| CV獲得 | YouTubeロング、X（Twitter） | 詳細な解説、データ分析、ノウハウ共有 |
※プロセスエコノミー：結果だけでなく、制作過程や挑戦の様子を見せることで共感を生み出すマーケティング手法。
ペルソナ設定が狭すぎる
「子どもにスポーツを習わせたい親」のような狭いペルソナ設定では、ショート動画で90%の人が離脱します。
青森の山奥に住むおじいさんでも最後まで見てしまう動画を作ることで、バズった先に見込み客がいれば、ビジネスは成立するのです。
建築・リフォーム業のSNS戦略
建築業がSNSで成果を出すには、視聴者の感情を動かす「変化の幅」が重要です。
プロセスエコノミーで差別化する
廃墟ホテルをオープンさせるまでの過程を毎日投稿することで、オープン時にYouTube登録者15万人を獲得した事例があります。初日から300人が集まり、宿泊者の8割がYouTube視聴者という驚異的な結果でした。
成功のポイント
- マイナスからのスタートであるほどプロセスが面白い
- 「できるかできないかわからない目標」を設定する
- 社会的意義のある建物（100年続く酒蔵、80年続く旅館など）を選ぶ
ライバルとの差別化を意識する
美容サロンのビフォーアフターが伸びない理由は、整形のアカウントと比較されて変化の幅が小さいからです。建築業も同様で、「ゴミ屋敷清掃」などの劇的な変化と勝負になります。
差別化の戦略
- めちゃくちゃ汚い物件の改造を増やす
- 女性の新入社員や未経験者が挑戦する様子を見せる
- 80歳のおじいちゃんが体力の限界に挑みながら宿を作る
このような「できるかできないかわからない」設定が、視聴者の応援を生み出します。
スポーツ教室のSNS戦略
スポーツ教室がインフルエンサーを起用しても再生数30回程度に留まるのは、企画がやらせに見えるからです。
リアルなドキュメンタリーに切り替える
下半身不随になった子供が「友達とサッカーをしたい」という目標に向かって挑戦する様子を追うドキュメンタリーなら、スポーツに興味のない人も見ます。
「もう一度子供と歩きたい」をゴールにした、車椅子パパのInstagramアカウントは、初投稿で400万再生を記録しました。子供と遊びたい親や3世代が感動し、トレーニングに興味のない層も巻き込んだのです。
プロモーション動画の正しい使い方
プロモーション動画は基本的にバズりません。映像の美しさより、ストーリーや面白さが求められる時代だからです。
プロモーション動画の位置づけ
- 新規顧客の獲得には向かない
- すでに興味を持っている人の背中を押す役割
- ホームページやSNSに訪れた人向けのコンテンツ
ショートドラマを作るなら、CV狙いではなくバズ狙いが正解です。冒頭2秒を最適化し、ネガティブフック（不倫の現場、崖から落ちそうな場面など）で視聴者を引き込みましょう。
サロン経営者のSNS戦略
サロン業界のコンサルタントは、インスタグラムでの発信が中心ですが、全媒体展開で差別化できます。
ストリート企画で認知を拡大
「1万円もらうか、私にガチ切れされるか、どっちがいいですか？」という企画なら、サロンに興味のない人も見てしまいます。
企画の流れ
- ストリートでサロンオーナーに二択を迫る
- ガチ切れを選んだ理由をヒアリング
- 店舗に入り込んで具体的なアドバイス
- オーナーが納得してハッピーエンド
この構成なら、認知拡大とCV獲得を両立できます。
ガチレビューで信頼を獲得
お祭りレビュー（提灯記事）が蔓延する中、本音のレビューは差別化になります。
ガチレビューの条件
- お金を持っていることがわかる人物が行う
- 悪い評価も正直に伝える
- 批判で終わらず、改善アドバイスを提供
冒頭2秒にダメ出しシーンを持ってくることで、再生数を稼ぎながらクライアントも救える企画設計が可能です。
各SNS媒体の使い分け方
SNSは媒体ごとに特性が異なるため、戦略的な使い分けが必要です。
TikTok・Instagram・YouTubeショートの活用法
- 認知拡大に最適
- CVレートは低いがリーチが広い
- ペルソナを極端に広く設定する
たとえば、沖縄のホテル運営者が「青森の山奥に住むおじいさん」をペルソナに設定することで、全員が最後まで見る動画を作成。バズった先に見込み客がいれば、ホテルは満室になります。
X（Twitter）・スレッズの活用法
- SNSの検証結果を投稿
- 「SNSのプロ」としてのブランディング
- 投稿を見た人が他の媒体もチェックする導線設計
「こんなにSNSを語る人のアカウントはどうなっているのか？」という興味から、インスタやYouTubeのフォローに繋がります。視聴完了率の高い、質の高いフォロワーを獲得できるのです。
YouTubeロング動画の活用法
- 詳細な解説やノウハウの提供
- CV率が高い
- 信頼構築に最適
最初の2秒で決まる成否
ショート動画では、90%の人が2秒以内に離脱します。この2秒間をどう設計するかが勝負です。
避けるべきパターン
- キャラクターが出てくるまで2秒以上かかる
- 何の動画かわからない導入
- ペルソナが狭い内容
成功するパターン
- 衝撃的なシーンから始まる
- 「続きが気になる」仕掛け
- 誰もが興味を持つテーマ
インフルエンサーを起用しても、冒頭2秒の設計が甘ければ、再生数は伸びません。逆に素人でも、冒頭設計さえ完璧なら、大きくバズる可能性があります。
SNS運用で避けるべき落とし穴
新規事業をSNSのために始めるのはNG
SNSでバズるために、全く違う事業を始めるのはコスパが悪いです。ただし、既存事業を少し広げる程度（例：住宅リフォームにゴミ屋敷清掃を追加）なら、マネタイズしながらコンテンツも作れます。
プロモーション動画に予算をかけすぎない
日本で最もかっこいいプロモーション動画を作る人でも、フォロワー数や再生数は多くありません。一般視聴者は映像美より、ストーリーや面白さを求めているからです。
ライバルの変化率を無視しない
どの業界にも「最も変化が大きく見える競合」が存在します。美容サロンなら整形、建築ならゴミ屋敷清掃です。これらと同等以上の変化率がないと、アルゴリズム上で勝てません。
SNS運用に関してよくある質問
Q1：SNSで認知は取れているのに、なぜ売上に繋がらない？
SNSで売上に繋がらないのは、認知拡大とコンバージョン獲得を同じアカウントで行おうとしているのが原因です。
TikTokやInstagramショートは認知拡大に適していますが、CV率は低いです。一方、YouTubeロング動画やXは詳細な情報提供に向き、CV率が高くなります。
「令和の虎」で認知を取り、「フランチャイズチャンネル」でCVするように、目的に応じてアカウントや媒体を使い分けることが成功の鍵です。
Q2：ショート動画の「最初の2秒」はどう設計すればいい？
冒頭2秒では、衝撃的なシーンや「続きが気になる」仕掛けを入れることが重要です。キャラクター登場まで時間がかかる構成や、何の動画かわからない導入は避けましょう。
成功パターンは、ネガティブフック（不倫の現場、崖から落ちそうな場面など）や劇的なビフォーアフター、予想外の展開を冒頭に持ってくることです。
90%が2秒以内に離脱するため、この設計が再生数を左右します。
Q3：ペルソナ設定はどこまで広げるべき？
ペルソナは「青森の山奥に住むおじいさんでも最後まで見てしまう動画」を目指すのが理想です。
「子どもにスポーツを習わせたい親」のような狭いペルソナでは、ショート動画で90%が離脱してしまいます。
極端に広いペルソナ設定でバズを狙い、その中に見込み客がいれば、ビジネスは成立します。認知拡大フェーズでは、業界や興味関心に関係なく誰もが楽しめるコンテンツ設計が成功の秘訣です。
Q4：プロセスエコノミーとは何？どう活用すればいい？
プロセスエコノミーとは、結果だけでなく制作過程や挑戦の様子を見せることで共感を生み出すマーケティング手法です。
廃墟ホテルをオープンさせるまでの過程を毎日投稿した事例では、登録者15万人を獲得し、初日から300人が集まりました。成功のポイントは、以下の3つです。
- マイナスからのスタート
- 「できるかできないかわからない目標」の設定
- 社会的意義のある挑戦
Q5：各SNS媒体はどのように使い分けるべき？
SNS媒体ごとに役割を明確に分けましょう。TikTok・Instagram・YouTubeショートは認知拡大に最適で、CVRは低いですが、リーチが広いのが特徴です。
X（Twitter）やスレッズは、SNSの検証結果やプロとしてのブランディングに活用し、他媒体への導線として機能します。
YouTubeロング動画は詳細な解説やノウハウ提供に適しており、CV率が高く信頼構築に最適です。目的に応じた戦略的な使い分けが、SNS運用成功の鍵となります。
まとめ：SNS戦略の本質
SNSで成果を出すには、以下の3点が重要です。
- 認知拡大とCVを分ける：令和の虎とフランチャイズチャンネルのように、役割を明確に分けましょう。
- ペルソナを極端に広げる：「誰も興味を持たない人」が最後まで見る動画を作れば、バズった先に見込み客がいます。
- プロセスエコノミーを活用：「できるかできないかわからない目標」への挑戦は、人々の応援を生み出します。
SNS運用は「認知が欲しいのか、CVが欲しいのか」を明確にすることから始まります。目的に応じて媒体を使い分け、視聴者が最後まで見たくなるコンテンツを設計することが成功への近道です。
出典：フランチャイズチャンネル『これ無料でいいの！？ど素人さんが社長達に本気のSNSコンサル！｜フランチャイズ相談所 vol.3856』
