マーケティング

発売2年で136億円!YOLUのマーケティング戦略を初心者向けに完全解説

【PR】本記事にはプロモーションが含まれています。

ど素人Brainアフィリ画像2

しいなま

神戸在住の神戸を愛するマーケター|マーケティングを楽しく学べる場所を作りたい

発売2年で136億円規模に成長したYOLUですが、実は社内コンテストで2位のアイデアでした。

なぜ1位を抑えて採用されたのか。その裏には、データだけに頼らない戦略がありました。

BOTANISTに続くヒット商品を生み出したI-neのマーケティング手法は、初心者でも実践可能な本質が詰まっています。価格設定の裏側からSNSでバズを生んだ要素まで、成功の全プロセスを解説します。

目次

YOLUブランドの概要

YOLUは「夜間美容」という独自コンセプトで、発売2年で136億円規模に成長したヘアケアブランドです。

株式会社I-ne(アイエヌイー)が展開するYOLUは、BOTANISTに続くヒット商品として、シャンプー市場に大きなインパクトを与えました。

I-neは創業18期目で年商400億円超を達成し、約20ブランドを展開する急成長企業です。

ブランド名カテゴリー市場での位置づけ
BOTANIST(ボタニスト)ヘアケアドラッグストア売上1位の月も
YOLU(ヨル)ヘアケア3位~4位を推移、時に1位
SALONIA(サロニア)美容家電ヘアアイロン市場で高シェア

I-neは「Chain of Happiness(チェインオブハッピネス)」というミッションのもと、商品を通じて世界中を幸せにすることを目指しています。

ここからは、マーケティング初心者の方にも理解できるよう、YOLUの商品開発プロセスから販売戦略まで、実践的なマーケティング手法を詳しく解説します。

I-neの戦略:なぜシャンプー市場に参入したのか

I-neがシャンプー市場に参入した理由は、大きな市場でインパクトのあるブランドを作るという経営判断によるものです。

BOTANISTローンチ前の状況

約10年前、BOTANISTをローンチする前のI-neは年商約50億円規模の企業でした。

当時、同社は「Chain of Happiness」というミッションを策定し、自社商品がより大きな市場でインパクトを与えるべきだという結論に至ったのです。

大きな市場とは、消費者の数が多く、購入頻度が高く、市場規模が大きいカテゴリーのこと。シャンプーは日用品として定期的に購入されるため、ヒット商品を生み出せば継続的な売上が見込めます。

カテゴリー選定のポイント

I-neがヘアケア・シャンプーカテゴリーを選んだ理由は、以下の通りです。

  • 市場規模の大きさ:日本国内だけでも数千億円規模の市場
  • 購入頻度の高さ:消耗品のため定期的な購入が発生
  • 差別化の余地:当時、独自性のある商品が少なかった
  • 販売チャネルの多様性:ドラッグストア、EC、バラエティショップなど複数の販路が存在

この戦略的判断により、I-neは年商50億円から400億円超へと約8倍の成長を遂げることになります。

YOLUの商品開発プロセス:なぜ2位案が選ばれたのか

YOLUは社内コンテストで2位だった「夜間美容」コンセプトが採用され、1位の「ビタミンシャンプー」は見送られました。

全社的な商品開発コンテスト

I-neでは新商品開発にあたり、全社員から100以上のアイデアを募集しました。その後、調査部門が50案に絞り込み、消費者調査を実施。

調査結果のトップ3は、以下の通りでした。

  1. ビタミンシャンプー
  2. 夜間美容シャンプー(YOLU)
  3. シルキーシャンプー

通常であれば1位の案を採用するのが定石ですが、I-neは2位の夜間美容コンセプトを選択しました。

アート・クラフト・サイエンスの意思決定フレームワーク

意思決定フレームワークとは、企業が重要な判断を行う際に用いる基準や考え方の枠組みのこと。I-neが重視する要素は、下記の3つです。

要素意味YOLUでの評価
サイエンスデータに基づいた意思決定調査で2位という高評価
クラフト品質の高い製品づくり夜間ダメージケアという機能性
アートデザインや世界観の創造独自性のあるパッケージデザイン

なぜ1位ではなく2位を選んだのか

データとしては1位が出ているものの、どう考えても2位の夜間美容の方がプロモーションしやすい、バズらせやすい、バイヤーさんの評価がいいと判断したのです。

具体的な判断要素は、下記になります。

  • 独自性:夜間美容というコンセプトは市場に存在しなかった
  • トレンド適合性:コロナ禍の「お家美容」ブームに合致
  • プロモーション可能性:SNSでバズりやすいストーリー性
  • バイヤー評価:ドラッグストア担当者からの高評価

同じデータを見ても、「競合と同じだから売れる」と考える人と「競合と同じだから売れない」と考える人がいます。I-neでは最終的に、複数の専門家が議論を重ね、定性的な判断を加えて意思決定しました。

夜間美容コンセプトが生まれた背景

YOLUの夜間美容コンセプトは、ナイトキャップの機能をシャンプーで実現できないかという発想から生まれました。

ナイトキャップとヘアケアの関係

美容意識の高い女性の間では、就寝時にナイトキャップをかぶる習慣がありました。寝ている間の摩擦や乾燥から髪を守るためです。

科学的には、寝ている間に髪は以下のようなダメージを受けることがわかっています。

  • 枕との摩擦によるキューティクルの損傷
  • 寝返りによる髪の絡まり
  • 乾燥による水分の喪失

コロナ禍の「お家美容」トレンド

YOLUがローンチされたのは、コロナ禍で外出が制限されていた時期でした。この時期、「お家美容」というトレンドが生まれ、自宅でのケアに時間とお金をかける消費者が増加。

ECモールでの市場調査では、以下のような結果も出ていました。

  • お家美容関連商品の売上が急上昇
  • ヘアケアカテゴリーでは従来の定番商品以外のニーズが高まっていた
  • 新しいコンセプトの商品が受け入れられやすい市場環境

I-neはこのトレンドを捉え、「お家美容×ヘアケア」という空白地帯にYOLUを投入したのです。

オンラインとオフラインの販売戦略

I-neの基本戦略は、オンラインで話題化してからオフライン(ドラッグストア)に展開する流れです。

BOTANISTの苦い経験

BOTANISTをローンチした当初、I-neはドラッグストアのバイヤーから相手にされませんでした。理由は価格帯です。

当時のシャンプー市場では、下記のような価格帯でした。

価格帯主な販売チャネル消費者の認識
500~1,000円ドラッグストア一般的なシャンプー
1,400円(BOTANIST)高すぎる?
3,000~5,000円サロン(美容室)プロ仕様

ドラッグストアのバイヤーは「1,400円のシャンプーは高すぎて売れない」と判断し、店頭への導入を拒否しました。

ECとSNSでの認知獲得戦略

店頭に入れないため、I-neは以下の戦略を採用しました。

  1. ECモール(楽天・Amazon)での販売開始
  2. SNSを活用したプロモーション
  3. インフルエンサーとのタイアップ
  4. 口コミの醸成

約1年半後、「ネットで流行っているシャンプー」という実績を持ってバイヤーに再度提案したところ、ドラッグストアでの取り扱いが広がりました。

YOLUでも同様の戦略を採用

YOLUもBOTANISTの成功パターンを踏襲しました。

ローンチ初期(0~3ヶ月)

  • ECモールでの先行販売
  • SNSでのバズ施策
  • インフルエンサーマーケティング

成長期(3~6ヶ月)

  • SNS上での発話量増加
  • オーガニック(自然発生的)な投稿の増加
  • ドラッグストアからの引き合い

拡大期(6ヶ月以降)

  • ドラッグストア、バラエティショップへの展開
  • スーパー、コンビニエンスストアへの拡大
  • 1万店舗以上での販売体制の構築

I-neの収益構造:オンライン広告では利益が出ない?

1,400円のシャンプーだと、オンライン広告だけで利益率10%以上を確保することは不可能に近いというのがI-neの見解です。

CPOと適正価格の矛盾

CPO(Cost Per Order)とは、1件の注文を獲得するためにかかった広告費のこと。たとえば、10万円の広告費で100件の注文があれば、CPOは1,000円になります。

項目金額・割合
販売価格1,400円
原価・物流費約40~50%
競合に勝てる広告費約30~40%
残る利益10~20%

1,400円のシャンプーで、利益を10%以上出して、競合に勝てる広告費を投下するのは、オンラインだけでは不可能と明言しています。

相乗効果を前提とした投資

I-neはオンライン広告を「赤字覚悟の投資」ではなく、「オンラインとオフライン両方からの有機的な売上増加を生む投資」と位置づけています。

相乗効果の仕組みとしては、下記の通りです。

  1. オンライン広告を実施
    • SNS広告、インフルエンサー施策
    • ECモールでの認知獲得
  2. 両チャネルで売上が発生
    • オンライン:ECモールでの購入
    • オフライン:ドラッグストアでの購入
  3. 間接的な効果も測定
    • テレビCMの効果
    • 口コミの拡散
    • ブランド認知の向上

この考え方により、見かけ上のCPOが悪くても、全体としては利益が出る構造を作っています。

自社ECサイトを主力にしない理由

I-neは自社ECサイトではなく、楽天やAmazonなどのECモールを主力販売チャネルとしています。

自社サイトとモールの違い

販売チャネルとは、商品を消費者に届けるための経路のこと。実店舗、自社サイト、ECモールなどがあります。

販売チャネルメリットデメリット
自社ECサイト利益率が高い集客コストが高い
ECモール購入ハードルが低い手数料がかかる
ドラッグストア衝動買いが発生しやすい棚取り競争が激しい

商品特性による使い分け

自社サイトで売れる商品

  • 他にない独自商品
  • 高単価商品
  • 定期購入商品

モール・店頭で売れる商品

  • カテゴリーで比較検討される商品
  • 中価格帯の商品
  • 衝動買いされやすい商品

シャンプーは「カテゴリーで探される商品」です。消費者は「シャンプーを買おう」と思ってドラッグストアやECモールを訪れ、その中から選びます。

購入行動の心理

消費者はわざわざ自社サイトで個人情報を登録してまで買いたいわけではありません。楽天やAmazonのアカウントで、サッと買いたいという方がほとんどです。

自社サイトでの購入

  • 新規アカウント登録の手間
  • クレジットカード情報の入力
  • 配送先情報の登録
  • サイトへの信頼性の確認

ECモールでの購入

  • 既存アカウントで即購入可能
  • ポイントが貯まる・使える
  • 他の商品と一緒に購入できる
  • レビューで商品を確認できる

YOLUやBOTANISTのような、1万店舗以上で展開しているブランドは、自社サイトへの投資を抑え、モールとリアル店舗に注力しています。

シャンプーの上限価格を突破したBOTANISTの戦略

BOTANISTは、サロンでシャンプーを買う層のニーズを捉えることで、ドラッグストアの価格帯を引き上げました。

サロン購入者へのヒアリング

BOTANIST開発当時、I-neにはマーケティング部門がなく、感覚での意思決定が中心でした。そこで、美容室(サロン)でシャンプーを購入する消費者に徹底的にヒアリングを行いました。

価格帯購入場所消費者の本音
3,000~5,000円サロン品質は良いが財布に厳しい
500~1,000円ドラッグストア安っぽくて良いものがない
1,400円(BOTANIST)このゾーンなら買いたい

空白ゾーンを狙った価格戦略

BOTANISTは、サロン品質を求めるけど、サロン価格は払えない層をターゲットにしました。

ターゲット設定

  • サロンでシャンプーを買っていたが金銭的に続けられない人
  • ドラッグストアのシャンプーでは満足できない人
  • ちょっといいものを求めている人

このターゲット設定により、1,400円という価格帯が受け入れられ、ドラッグストアのシャンプー市場に新しい価格ゾーンを作り出しました。

「中身をこだわった中価格帯のシャンプー」というポジショニングにより、BOTANISTは差別化に成功したのです。

カニバリゼーションを前提とした戦略

I-neは自社ブランド間でのカニバリゼーションを前提に、複数のヘアケアブランドを展開しています。

BOTANISTとYOLUの関係

カニバリゼーション(カニバリ)とは、自社の複数商品が競合し、売上を奪い合う現象のこと。一般的にはカニバリは避けるべきとされますが、I-neの考え方は異なります。

「他社メーカーにどんどん棚に入られて取られるなら、自分たちで複数ブランドを投入してシェアを守った方がいい」という考え方です。

ブランド間の棲み分け

ブランドコンセプトターゲット
BOTANIST植物由来成分ナチュラル志向の人
YOLU夜間美容髪のダメージケア重視の人

実際には多少のカニバリは発生しますが、バイヤーへの説明時にはコンセプトの違いを明確にし、棚の取り合いを最小限に抑えています。

予算化されたカニバリ率

I-neでは複数のヘアケアブランドを展開してきた経験から、カニバリ率のデータが蓄積されています。

予算策定時の考慮事項

  • 過去のカニバリ率データ
  • 新商品と既存商品の類似度
  • 販売チャネルの重複度
  • ターゲット層の重複度

新商品企画の段階で、どの程度既存商品の売上を奪うかを織り込んだ上で、全体として売上が伸びるかを判断しています。

SNSでバズった要因

YOLUは発売3ヶ月目からSNSでの発話量が急増し、予測を大きく上回る売上を記録しました。

需要予測を超えた実績

I-neは商品ローンチ時に需要予測を立てますが、YOLUはその予測を大きく上回りました。

  • ローンチ~2ヶ月:計画通りの推移
  • 3ヶ月目以降:SNSでのバズが加速
  • 6ヶ月目以降:ドラッグストアからの引き合い増加

バズを生んだ3つの要素

夜間美容というコンセプト

インフルエンサーが「夜間美容」という新しい概念に興味を持ち、自発的に投稿しました。

目を引くパッケージデザイン

店頭で「ぴょこっと飛び出ているデザイン」が視認性を高めました。

口コミでの高評価

実際に使用した消費者が、楽天やAmazonのレビュー、@cosmeのランキングで高評価をつけたことで、さらなる拡散につながりました。

オーガニック投稿の重要性

I-neは有力インフルエンサーにPR投稿を依頼していましたが、それ以上に想定外のオーガニック投稿が増えたことが成功要因でした。

オーガニック投稿とは、企業が報酬を支払わずに、消費者やインフルエンサーが自発的に行う投稿のこと。広告と違い、信頼性が高いとされます。

消費者が自発的に投稿したくなるのは、下記のような要素です。

  • 新しくて面白いコンセプト
  • SNS映えするパッケージ
  • 実感できる使用感
  • 話題性

マーケターの成長に必要な視点の持ち方

成果を出し続けるマーケターは、常に消費者視点で物事を見ることができます。

プロダクトアウトと消費者視点

プロダクトアウトとは、企業側の都合や視点で商品開発や販売を行う考え方のことです。

成果が出ないマーケターの特徴

  • 商品そのものを見ている
  • 自社の都合で考えている
  • 競合との比較に終始している

成果が出るマーケターの特徴

  • 店頭に置かれた状態でどう見えるかを考える
  • 消費者の購買行動を想像する
  • 売り場全体の中での見え方を把握する

ダイエー創業者・中内功氏の視点

故・中内功氏(ダイエー創業者)は店舗を視察する際、常に入口から入って消費者の目線で商品配置を確認していました。

「なぜ鍋を売っているのに、鍋用の野菜と肉がこんなに離れているのか?」

これは消費者なら誰でも感じる疑問ですが、組織内では「肉の担当者」「野菜の担当者」「鍋の担当者」が分かれているため、それぞれの都合で配置が決まってしまいます。

視点を身につける実践方法

言語化トレーニングの手順は、下記の通りです。

  1. 商品の写真を見せる
    • 例:YOLUが店頭に並んでいる写真
  2. 時系列で文章化させる
    • 「私は店頭を歩いていました」
    • 「ぴょこっと飛び出ているパッケージが目に留まりました」
    • 「近づいて見ると『夜間美容』と書いてありました」
    • 「その下に『@cosme駆け込みランキング1位』とありました」
    • 「さらに下を見ると、綺麗な絵柄と『YOLU』という文字がありました」
    • 「これはなんて読むんだろうと興味を持ちました」

売れている理由を箇条書きで答えさせるのはNGです。「夜間美容というコンセプトが受けた」「しっとり感が良い」のような抽象的な回答は避けましょう。

トレーニングの効果と注意点

効果が出る人

  • 論理的思考が得意な人(左脳タイプ)
  • 過程を丁寧に追うことで、人間の心の動きを理解できるようになる

逆効果になる人

  • 直感的に物事を捉えられる人(右脳タイプ)
  • 本来は10項目中3項目が重要だと瞬時に見抜けるのに、全部言語化すると優先順位がつかなくなる

特に男性マーケターに効果的で、論理的に考える傾向がある人ほど、このトレーニングで消費者視点を身につけやすい傾向があります。

I-neの組織体制とブランドマネジメント

I-neは約20ブランドを展開しており、各ブランドに専任チームを設けています。

ブランドチームの構成

役割担当業務
ブランドマネージャーブランド全体の戦略立案
商品開発担当処方開発、パッケージデザイン
マーケティング担当プロモーション、SNS運用
セールス担当バイヤー交渉、流通拡大

BOTANISTとYOLUは別のブランドチームが運営していますが、セールスメンバーなど一部は兼任しています。

ブランド横展開の成功と失敗

BOTANISTブランドでは、シャンプー以外にも展開しています:

  • 成功例:ボディソープは7~8年間安定してシェアを維持(マーケティングコストほぼゼロ)
  • 失敗例:スキンケア・ヘアケア以外のカテゴリーはクロスセルが発生しにくい

「BOTANIST=シャンプー」の強固なイメージ

消費者の認識調査によると、BOTANISTとYOLUが同じメーカーだと知っている人は数%程度しかいません。これはマーケティング上の課題でもあり、利点でもあります。

課題

  • ブランド横展開がしにくい
  • BOTANISTの認知をYOLUに活かせない

利点

  • ブランド間のカニバリが最小限
  • それぞれ独立したファンベースを構築できる

I-ne(YOLU)に関してよくある質問

Q1:なぜYOLUは社内コンテストで2位だった案を採用した?

調査データ1位よりも、2位の「夜間美容」というコンセプトの方がプロモーションしやすく、SNSでバズりやすい独自性があると判断したためです。

I-neでは「サイエンス(データ)」「クラフト(品質)」「アート(デザイン)」の3要素を総合的に評価する意思決定フレームワークを採用しており、データだけでなく定性的な判断も重視しています。

Q2:なぜI-neは自社ECサイトではなくECモールを主力にした?

シャンプーは「カテゴリーで探される商品」であり、消費者はわざわざ自社サイトで個人情報を登録するより、楽天やAmazonで手軽に購入したいと考えるためです。

ECモールでは既存アカウントで即購入でき、ポイントも使えるため購入ハードルが低く、比較検討もしやすいという利点があります。

Q3:オンライン広告だけでは利益が出ないとはどういう意味?

1,400円のシャンプーで原価・物流費が40〜50%、競合に勝てる広告費が30〜40%を占めると、オンライン広告単体では利益率10%以上の確保が困難です。

I-neはオンライン広告を「オンラインとオフライン両方からの売上増加を生む投資」と位置づけ、ECでの認知獲得後にドラッグストアでも売上が発生する相乗効果を前提としています。

Q4:BOTANISTはどうやってドラッグストアの価格帯を引き上げた?

サロン(美容室)でシャンプーを購入する消費者に徹底的にヒアリングし、「品質は良いが3,000〜5,000円は財布に厳しい」という本音を発見しました。

一方、ドラッグストアの500〜1,000円帯では満足できない層が存在していたため、1,400円という空白ゾーンを狙い、「サロン品質×ドラッグストア価格」というポジショニングで成功しました。

Q5:マーケティング初心者が消費者視点を身につけるには?

商品の写真を見て、消費者が店頭を歩いてから購入するまでのプロセスを時系列で文章化するトレーニングがおすすめです。

「店頭を歩いていたら、ぴょこっと飛び出ているパッケージが目に留まった」「近づくと『夜間美容』と書いてあった」のように、心の動きを丁寧に言語化することで、消費者の感情を理解できるようになります。

まとめ:YOLUから学ぶマーケティングの本質

YOLUの成功は、データと直感のバランス、消費者視点の徹底、オンライン・オフラインの相乗効果によって実現されました。

本記事で解説したYOLUのマーケティング戦略から、マーケティング初心者の方が学べる重要なポイントをまとめます。

実践できる5つのポイント

データだけに頼らない意思決定

  • 調査で1位でも、市場環境や自社の強みを考慮する
  • アート・クラフト・サイエンスのバランスを取る

消費者視点を徹底する

  • 店頭での見え方、購買行動を時系列で想像する
  • 言語化トレーニングで消費者の心の動きを理解する
  • プロダクトアウトではなく、常に「お客様がどう感じるか」を起点にする

オンラインとオフラインの相乗効果を設計する

  • オンライン広告単体での採算ではなく、全体での売上増加を目指す
  • ECで認知を獲得してから実店舗に展開する流れを作る
  • テレビCMや口コミなど、間接的な効果も含めて評価する

適切な販売チャネルを選択する

  • 商品特性に合わせてECモールと自社サイトを使い分ける
  • カテゴリーで探される商品はモール・店頭を主力にする
  • 購入ハードルを下げることを優先する

市場の空白地帯を見つける

  • 既存カテゴリーの価格帯や機能に空白がないか探す
  • トレンドと組み合わせて独自性を生み出す
  • サロン品質×ドラッグストア価格のような新しいゾーンを作る

YOLUが示した新しいマーケティングモデル

従来のシャンプーマーケティング

  • テレビCM中心の認知獲得
  • 大量流通による市場シェア拡大
  • 価格競争

YOLUのマーケティングモデル

  • SNSでのバズを起点とした認知獲得
  • オーガニック投稿を生む商品設計
  • コンセプトによる差別化
  • EC→店頭という段階的な流通拡大

マーケティング初心者が明日から実践できること

  1. 自社商品を消費者目線で観察する
    • 実際に店頭やECサイトで自社商品を探してみる
    • 最初に目に入るのは何か、どんな気持ちになるかを記録する
    • 競合商品と並べて比較し、選ばれる理由を考える
  2. ターゲット顧客にヒアリングする
    • なぜその商品を買ったのか、時系列で詳しく聞く
    • 購入前にどんな不満があったのかを深堀りする
    • 他の選択肢と何を比較したのかを確認する
  3. 販売データと現場の声を組み合わせる
    • 数字だけでなく、バイヤーや販売員の定性的な意見を聞く
    • SNSでの消費者の生の声を定期的にチェックする
    • データが示すこと、現場が感じることの両方から判断する

I-neが体現する「選択と集中」のバランス

I-neは「20ブランド展開は選択と集中ができていない」と言われることもありますが、実際には明確な戦略のもとで複数ブランドを展開しています。

多ブランド展開の理由

  • ヘアケア市場でのシェア確保(他社に取られるなら自社で)
  • 異なるコンセプトで異なる顧客層にリーチ
  • リスク分散(1ブランドに依存しない経営)
  • ノウハウの蓄積と横展開

「選択と集中」という言葉は、必ずしも1つに絞ることを意味しません。市場特性や企業の成長段階によって、適切なポートフォリオ戦略は異なります。

マーケティングの本質は「顧客理解」

I-neの事例が教えてくれる最も重要なことは、どんなに優れたデータやフレームワークがあっても、最終的には「お客様が何を求めているか」を理解することが、成功の鍵ということです。

  • お客様は何に困っているのか
  • どんな体験を求めているのか
  • どこで商品を探し、何を基準に選ぶのか
  • 購入後にどんな気持ちになりたいのか

YOLUは「寝ている間の髪のダメージ」という潜在的な悩みを、「夜間美容」というわかりやすいコンセプトで解決策として提示しました。

BOTANISTは「サロン品質を求めるが価格がネック」という顧客の本音を捉え、1,400円という新しい価格ゾーンを創造しました。

どちらも、データを見つつ最終的には「お客様の立場で考える」ことで成功しています。

出典:北の達人ラジオ【マーケティングキングダム】公式チャンネル 木下勝寿『【衝撃】発売2年で136億円の鬼バズりブランド「YOLU」はこのように産まれ、このように育った』

ど素人Brainアフィリ画像3

-マーケティング
-, ,