実は、あなたのビジネスには60%もの巨大な未開拓市場が眠っています。それが「必要性はあるのに気づいていない層」です。
多くの企業は、わずか13%の顕在層を奪い合う消耗戦に陥っていますが、入門者マーケティングを実践すれば、競合のいない市場で圧倒的な集客が可能になります。
全国80店舗の成功を収めた「お酒の美術館」の事例から、今すぐ実践できる8つの王道戦略まで、コストをかけずに新規顧客を劇的に増やす方法を徹底解説します。
入門者マーケティングとは?
入門者マーケティングとは、初心者や入門者を対象にした集客戦略で、格式の高いコンテンツを初心者向けに切り替える手法です。
多くの老舗企業や専門性の高いビジネスが抱える「既存客は多いが新規顧客が来ない」という悩み。この問題を解決する鍵が、入門者マーケティングにあります。
知らず知らずのうちに潜在顧客を遠ざけているビジネスは、世の中に多いです。理由は明確で、大半の人は「自分には関係ない」「自分には縁がない」と思っているからです。
バーや老舗のお茶屋、専門性の高いサービスなど、格式が高いと感じられる場所ほど、この傾向は顕著になります。
つまり、格式の高さや専門性の参入障壁を取り除き、「私でもできる」「行ってみたい」と思わせることができれば、今まで獲得できなかった層を一気に取り込めます。
【成功事例】お酒の美術館に学ぶポジショニング戦略
お酒の美術館は「バーの入門店」というポジショニングで、全国80店舗を展開する成功を収めました。
お酒の美術館の戦略
お酒の美術館は、以下の特徴で業界の常識を覆しました。
- 1杯500円からという格安価格
- ファミリーマートやローソンとの提携
- コンビニ内にバーを設置
この戦略の本質は、「入りにくい」というバー業界の問題点を解決したことにあります。
コンビニとのシナジー効果
| 視点 | メリット |
| バー側 | 料理の仕込みや食品ロスを抑え、利益率の高いお酒に専念できる |
| コンビニ側 | 夜の時間帯の客単価向上、スペース賃料収入の発生 |
| 顧客側 | 気軽に入れる、コンビニの商品とのペアリングを楽しめる |
実際、お酒の美術館はファミリーマートならファミチキ、ローソンなら唐揚げクンとのペアリングを考えた専用ハイボールも開発しています。
業界の問題点を見つける視点
ここで重要なのは、業界の問題点を顧客目線で捉えることです。
- 入りにくいコンテンツ
- 買いにくいサービス
- 受けにくいサービス
これらを「簡単」「手軽」に変換できれば、一般的な人たちが大量に訪れる新規顧客獲得につながります。
人が商品を買う2ステップ
人が商品を購入するプロセスは「教育」と「販売」の2ステップで成り立っています。
ステップ1:教育
教育とは、商品やサービスのことをよく理解してもらうプロセスです。
たとえば、化粧品を購入する際、適当に選ぶのではなく、信頼できる人のおすすめや口コミを参考にするはず。これも、一種の教育です。
教育の本質は、悩みに気づいていない人を悩みに気づかせて、今すぐアクションさせること。
多くの経営者が見逃しているのは、今悩んでいる人だけをターゲットにしている点です。しかし、最強のマーケティングは悩みに気づいていない人に気づかせることにあります。
ステップ2:販売
理解した上で、購入という行動に移ります。
集団の構成比率「4つの顧客層」
顧客は4つの層に分かれ、最大の市場は「必要性があるのに悩みが顕在化していない層」の60%です。
顧客の4層
| 層 | 特徴 | 割合 |
| ①商品名で検索する人 | 既に商品を知っていて、ダイレクトに求めている | 約3% |
| ②悩みで検索する人 | 問題を認識し、解決策を探している | 約10% |
| ③必要性が全くない人 | そもそも悩む必要がない | 27% |
| ④必要性があるのに悩みが顕在化していない人 | 本当は必要なのに気づいていない | 60% |
なぜ60%の層が重要なのか
ほとんどの企業が①と②の合計13%の層を奪い合っています。この狭い市場での競争は激しく、特に中小企業には不利です。
一方、④の60%の層は巨大な未開拓市場です。ここにアプローチできれば、競合との消耗戦から抜け出せます。
【具体例】100kgの体重でも痩せたいと思っていない人
体重100kgの人がいても、本人が太っていると気にしていなければ、ダイエット商品は売れません。しかし、以下のような切り口で問題を定義すれば、気づきが生まれます。
- 「このままでは病気になるかもしれない」(健康面)
- 「見た目が悪いとアドバイザーとしての牽引性が保てない」(ビジネス面)
- 「アーティストとして成功できない」(キャリア面)
同じ「痩せるべき」という結論でも、切り口を変えて何度も伝えることで、相手は「自分ごと」として認識します。
人を動かす「自分ごと化」の重要性
人は自分ごとになった瞬間に初めて行動します。遠い世界のコンテンツは買いません。
コロナとエボラ熱
自分ごと化の原理は、新型コロナウイルスとエボラ熱の反応にも明確に表れています。
- エボラ熱:アフリカで発生→「ふーん」で終わる(自分ごとではない)
- コロナ:自分たちの命が危ない→大騒ぎ(自分ごとになった)
同じウイルスの話でも、自分に関係があるかどうかで、反応は180度変わります。
運動とスナック菓子
「運動は大切」「健康に気をつけなければ」と頭では理解していても、実際に病気になるまでは行動しない人がほとんどです。
「いつか起きるだろう問題」は、人にとって関係ないのです。
遠い世界と近い世界
バーや老舗のお茶屋など、どんなに良い商品やサービスがあっても、「自分には関係ない」「遠い世界だ」と思われたら顧客は来ません。
この遠い世界のものを近づけることが、入門者マーケティングの核心です。
初心者を囲い込む最強ワード集
「私でもできる」「いける」「やってみたい」と思わせる言葉を使うことで、初心者の参加率が劇的に上がります。
主要な最強ワードには、以下があります。
- いつでも
- 5分で
- 手軽
- 初心者歓迎
- 1人からOK
- 友達と参加可能
- サポート充実
- 無料体験
- 返金保証
これらのワードを適切に使うことで、今まで「自分には無理」と思っていた層にアプローチできます。
初心者を囲い込む王道8戦略
初心者向けマーケティングには、8つの実証済み戦略があります。
戦略1:時間
時間に関する訴求は、3つの切り口があります。
手軽に始められる
「今すぐ始められる」「登録3分」など、参入障壁の低さを強調します。
隙間時間で可能
「昼休みの30分でOK」「通勤時間に」など、忙しい人でも取り組めることを示します。
たとえば、整体院なら「手術を完璧にやる」ではなく「休憩時間・昼休みの30分でも施術可能」と訴求する方が、新規顧客は来やすくなります。
すぐ完了する
「10分で終わる」「その場で結果が出る」など、即効性をアピールします。
戦略2:料金
「安い」「無料」という価格訴求は、初心者にとって最もわかりやすい参入障壁の低減です。
同時に重要なのが、リスクリバーサルです。
- 「満足しなければ全額返金」
- 「初回無料」
- 「契約期間の縛りなし」
※リスクリバーサル=顧客が感じる購入リスクを、販売者側が引き受けることで、購入のハードルを下げる手法。
初心者は「失敗したくない」という気持ちが強いため、保証があると反応率が格段に上がります。
戦略3:距離
「自宅から徒歩5分」「オフィスの近く」など、物理的・心理的な近さは大きな要素です。
オンラインビジネスであれば、以下のような訴求が有効です。
- Webでも参加可能
- スマホでOK
- どこからでもアクセス可能
戦略4:導入のしやすさ
導入のしやすさは、4つに分解できます。
すぐに始められる
距離の要素とも重なりますが、「今すぐスタート」の気軽さです。
普段使っているものと連動
お酒の美術館がコンビニと連動したように、生活の中で当たり前に使っているものと結びつけると、導入ハードルが下がります。
日常的な生活習慣や文化と接続できないか考えてみてください。
友達・知人と参加可能
初心者は1人で行くことに不安を感じます。「友達と一緒にどうぞ」「パートナーとの参加歓迎」というメッセージを明記するだけで、参加率が大幅に向上します。
業界では当たり前でも、このワードがあるかないかで集客は3倍変わります。
1人からOK
逆に「1人でも大丈夫」という訴求も効果的です。
- 1人焼肉
- 1人カラオケ(ワンカラ)
- 1人バー
「1人で来る専用」を打ち出すことで、今まで「友達と行くもの」と思い込んでいた層を獲得できます。
戦略5:サポート体制
専門家やコミュニティによるサポートがあることを明示すると、初心者は安心します。
ここで重要なのは、「サポートをやっている」だけでなく、「サポートを謳い文句として謳う」ことです。
多くの企業は良いサポートを提供していますが、それを積極的にアピールしていません。この差で、新規顧客を逃しています。
戦略6:カスタマイズ
個人のニーズに合わせたプランを作れることを伝えると、初心者は「自分に合わないかも」という不安が解消されます。
特にライバルが多い業界では、差別化戦略として有効です。
たとえば英語学習塾では、「あなたの英語力やライフスタイルを分析し、あなたに合ったプランを提供します」のように訴求することで、初心者は「失敗するかも」という不安が軽減されます。
戦略7:励ましとモチベーション戦略
学習系のサービスで、特に効果的な戦略です。
- 達成バッジの発行
- 証明書の授与
- 成功事例の共有
- 進捗の可視化
モチベーションを維持する仕組みがあることを示すと、「続けられそう」と感じてもらえます。
戦略8:体験と実践
「体験会」「モニター」「お試しプログラム」など、実際に体験できる機会を提供します。
さらに効果的なのが「先輩プログラム」です。
- 「先輩が優しく教えます」
- 「お茶の選び方を丁寧に指導」
- 「お酒が苦手な方にお酒の飲み方を優しく教えます」
このようなサポートがあることを伝えるだけで、来店数が増加します。
「誰でも今から始めようキャンペーン」の実施方法
8つの戦略を組み合わせて、今すぐキャンペーンを開始しましょう。
キャンペーンの打ち出し方
バーを例に考えてみましょう。
「初心者大歓迎!お1人様でもOK!先輩スタッフが優しく教える、怖くて入れなかった方のためのバー入門キャンペーン開催中」
このように複数の要素を組み合わせることで、強力なメッセージになります。
コストをかけずに実施できる
重要なポイントは、キャンペーン施策はほとんどコストがかからないことです。
- ワードを変える
- 伝え方を変える
- 見せ方を変える
これだけで新規顧客の獲得数は大きく変わります。外れたら、別の言葉に変更すればいいだけです。
一気に初心者を囲い込む「借り物戦略」
すでに集客できている企業とタイアップすることで、自力では不可能な規模の集客が可能になります。
ノンオーガニック戦略
ノンオーガニック戦略とは、他人の力を借りて集客する手法です。自社の力だけでなく、他社のリソース(顧客リスト、ブランド力、集客力)を活用して成長する戦略になります。
特に、予算が限られた企業には効率的で、スケールアップしやすい方法です。
お酒の美術館のコンビニ戦略
お酒の美術館は、最初から大手コンビニと提携したわけではありません。
- 地方の中堅コンビニ「ポプラ」との提携でスタート
- 実績を積み上げる
- ファミリーマートやローソンへ展開
この段階的アプローチが重要です。
タイアップの始め方
いきなり大きな企業を狙うのではなく、以下のステップで進めます。
- 小さな実績を作る:近隣の店舗同士でイベント開催
- メディアに取り上げてもらう:新聞社の広報支援枠などを活用
- 実績を武器に次のステップへ:「○○新聞に掲載されました」「○○社とコラボしました」という実績が、次のタイアップを決める際の信頼材料になる
企画力が成功の鍵
タイアップで重要なのは、お互いに相乗効果がある企画を提案することです。
お酒の美術館とコンビニを例に考えると、
| 観点 | Win-Winの内容 |
| コンビニ | 夜の時間帯の客単価向上、スペース賃料収入 |
| お酒の美術館 | 食品ロス削減、お酒に専念、既存の顧客基盤活用 |
自分より上のレベルの企業とタイアップするには、双方にメリットがある企画力が必須です。
チャレンジキャンペーンの威力
「○○チャレンジ」という言葉は、SNSでもリアル店舗でも驚異的な反応率を示します。
キットカットの成功事例
キットカットは50周年記念に、TikTokで「ハッシュタグチャレンジ」を実施しました。
- ピコ太郎を起用
- TikTokのデュエット機能を活用
- 結果:視聴回数9,000万回
チャレンジキャンペーンのアイデア
店舗ビジネスでも簡単に実施できます。
- 蕎麦屋:「大盛り何杯食べられるかチャレンジ」
- SNS:「おしゃれな写真投稿チャレンジ」
- 飲食店:「大食いチャレンジ」
コンテスト形式にして、プレゼントを用意すると、競争心が煽られて参加率が上がります。
業界の常識は世間の非常識
自分たちの業界で当たり前だと思っていることは、一般の人から見ると非常識です。
バーの事例
- 業界の人:「バーは1人で来るお客さんも多い」
- 一般の人:「バーは1人で入りにくい場所」
この認識のギャップが、新規顧客獲得の障害になっています。
発想の転換
「業界では当たり前」だからこそ、それを謳い文句にすることで、新規顧客を大量に獲得できます。
「1人専門のバーです」と打ち出せば、今までバーに入ったことがない全ての層を囲い込める可能性があります。
入門者マーケティングに関してよくある質問
Q1:入門者マーケティングはどんな業種に効果がある?
特に「格式が高い」「専門性が高い」「入りにくい」と思われがちなビジネスに効果的です。
バー、老舗のお茶屋、高級レストラン、専門サービス、習い事教室、士業など、参入障壁が高いと感じられる業種ほど劇的な効果が期待できます。
一般の人が「自分には関係ない」と思っている市場であればあるほど、入門者マーケティングの威力が発揮されます。
Q2:8つの王道戦略の中で、最も効果的なのはどれ?
業種によって異なりますが、多くの場合「時間」「料金」「導入のしやすさ」の3つが特に効果的です。
「昼休みの30分でOK」「初回無料」「友達と参加可能」といった訴求は、初心者の不安を大きく軽減します。
重要なのは複数の戦略を組み合わせることで、「初心者大歓迎!お1人様でもOK!先輩スタッフが優しく教える」のように、強力なメッセージを作り出すことです。
Q3:良いサービスなのに、なぜ新規顧客が来ない?
新規顧客が来ない理由は「伝え方」にあります。
多くの企業は良いサポートを提供していますが、それを積極的にアピールしていません。業界では当たり前のことが、一般の人には全く伝わっていないのです。
たとえば、バーでは「1人で来る客も多い」のが常識ですが、一般の人は「1人では入りにくい」と思っています。この認識のギャップを埋める言葉を使うだけで、集客は3倍変わります。
Q4:タイアップ戦略は中小企業でも実現できる?
中小企業でもタイアップ戦略は可能です。お酒の美術館も最初から大手とタイアップしたわけではありません。
まずは近隣の店舗同士でイベントを開催し、地方紙に取り上げてもらうなど小さな実績を作ることから始めましょう。
その実績を武器に次のステップへ進み、段階的に規模を拡大していきます。重要なのは、双方にメリットがある企画を提案することです。
Q5:入門者マーケティングを始めるのに、どのくらいの予算が必要?
入門者マーケティングにほとんどコストはかかりません。
必要なのは「ワードを変える」「伝え方を変える」「見せ方を変える」ことだけです。キャッチフレーズやホームページの文言を変更するだけでも効果があります。
「初心者歓迎」「1人からOK」「友達と参加可能」といった言葉を追加するだけで、新規顧客の獲得数は大きく変わります。まずは今日からキャッチフレーズを1つ変えてみましょう。
まとめ:入門者マーケティングで新規顧客を獲得する
入門者マーケティングは、コストをかけずに新規顧客を劇的に増やせる最強の戦略です。以下の5ステップを実践しましょう。
- 顧客の60%が「必要性はあるが気づいていない層」であることを認識する
- 8つの王道戦略を自社に適用する
- 「誰でも今から始めようキャンペーン」を実施する
- 借り物戦略でタイアップ先を見つけ、段階的に規模を拡大する
- 業界の常識を疑い、一般の人の視点で参入障壁を取り除く
遠い世界のコンテンツは買いません。あなたのビジネスを「自分ごと」にすること、それが入門者マーケティングの本質です。
「私でもできる」「いける」「やってみたい」と思わせる仕掛けを、今日から実装してください。
小さな変更でも、新規顧客の獲得数は驚くほど変わります。まずはキャッチフレーズを1つ変えるところから始めてみましょう。
出典:マーケティング侍の非常識なビジネス学『※このノウハウはガチで簡単ですよ※自分だったら、今すぐ緊急会議を開いて、このマーケティングを取り入れますね』

