こんにちは
しいなまです。
以前、以下の記事で
ラインが出していた電車内広告を見て、
どんなことが勉強になるのかを
簡単に書きました。
今回は、もっと詳しく書いていこうかなと
思います。
電車広告を出したラインは
どういった戦略を立てて、
目的を達成させようとしているのか。
僕の考えたことを詳しく書いていきます。
「さすがライン様」と思えるような、
いろいろなマーケティング戦略が
隠されているので、
結構おもしろいと思います。
特に、マーケターではない方にとっては
「こんなことまで計算されているのか」
と感心するような内容になっていると
思いますので、
ぜひみていただければと。
では早速、本題に入っていきたいのですが、
まずざっくりした概要を話しておきます。
僕がある3連休の初日に電車に
乗った時のこと。
電車の中にある広告は全て、
ラインポコポコというアプリゲームの
広告でした。
その広告には、
2021年のM1チャンピオンとなった錦鯉と
いう芸人コンビの長谷川さんの顔が
デカデカと載っていた
といったお話です。
これを見た僕が何を考えたのか。
その詳細を、今回は話していきます。
まず、僕が考えた、
ラインが計算しているであろう
重要ポイントをまとめました。
それが、こちら。
- 日にち
- 広告数
- インパクト
- 人選
- 共感
- 拡散
- ずらし(ターゲットの変更)
一つずつ説明していきます。
日にち
まずは、広告を出す日ですね。
広告が出されていたのは、3連休の初日。
つまり、普段より多くの人が
電車を利用します。
ということは、多くの人が
広告を見てくれるわけです。
少しの期間で多くの人に
アプローチできた方が、
広告を出す日数も少なくていいので
コストを抑えられる上、
普段より多くの人に広告を
見てもらえるので、
かなり効率的ですよね。
そして、広告を見せたいターゲットも
わかってきます。
平日であれば、
サラリーマンやOLに見てもらいたいような、
自己啓発本や化粧品、脱毛などの広告が
多く掲載されています。
しかし、ラインは3連休を狙って
広告を出してきました。
ということは、誰をターゲットに
しているのでしょうか?
そうです!
親子や少し年配の方、
そして若者を狙ったのです。
連休になれば、
家族で少し遠いところに旅行しようと、
電車に乗る家庭もあると思います。
そうなると、両親やおじいちゃん
おばあちゃんがみるわけです。
その少し年配の方に響くような広告に
なっていたんですよ。
あと、若者も狙っていると
書いたんですが、
広告の内容は若者向きではありません。
若者に広告を見せようとしたのには、
年配の方とは違う、
ある理由があって広告を出したんです。
詳しくは、後ほど解説します。
広告数
次は、掲載する広告の数です。
ラインは電車の中にある広告を
全て占領しました。
中吊り広告も窓の上、ドアの上、
映像も全てです。
どこを見てもラインの広告に
なっているのです。
広告を見ない人はいないですよね。
見ないでいようとするのが不可能です。
もし、電車内に数枚の広告を
長期間出していたとします。
長期間出していたとしても、
広告を見てくれる人は限られてくるでしょう。
しかし、短期間に大量の広告を
出していたら、
一気に多くの人にアプローチできますよね。
電車に乗る人全て、100%の人に
広告を見せることができるんですから。
インパクト
あとは、広告の見た目です。
広告のほぼ全て、錦鯉のボケ担当の
長谷川さんの変顔が中央に
デカデカと貼られていました。
インパクトは絶大ですよね。笑
広告によって違う変顔が載っているので、
一つだけじゃなく、
他の広告も見たくなります。
さらに、おもしろい要素もあるので、
興味が湧くはずです。
背景もインパクトありでした。
ラインのイメージカラーである緑を
背景に使用していたんですが、
緑って目立つんですよね。
違うところを見ていても、
緑が目に入ってきます。
結果、広告を見てしまう。
緑とおじさんの顔ばかりの電車内は、
圧巻でしたね。
人選
人選、つまり広告に載せる人を
誰にするかってことです。
これもかなり大事ですよ。
今回のライン広告では、M1優勝の
旬の芸人さんを起用していたので、
話題性は抜群にあります。
ファンだけでなく、ファンじゃない人でも
知っている可能性は高いですし、
メディアも必ず取り上げるでしょう。
もし、一般のおじいさんを載せていたら、
誰も興味持たないですから。
知らないものは見ようとしない、
見たとしても記憶に残らないんですよね。
あと、ターゲットの年齢層とも
ちゃんと合わせた人選をしてますね。
今回のラインのターゲットが
年齢層高めの方なので、
50歳を超えている人を起用してます。
同年代の方が親近感が湧きますから。
若者が何を言っても、
年配の方には響きにくいです。
共感
共感とは、相手の悩みを
理解してあげることで、
より身近に感じてもらうことです。
ラインの広告では、文章で共感を
生み出していました。
広告のターゲットである少し年配の方に
響くような文章でした。
広告のど真ん中に、シンプルに
一言ずつ書かれていたのですが、
その一部を紹介します。
- スマホを探した。手に持っていた
- たまに曜日がわからない
- メガネをかけながら「メガネはどこだ」
「わかる〜」って思う人もいると思います。
共感した人は、
「どういう広告なんだろう」
って気になります。
で、周りを見渡すと、
変顔が載っていない、
アプリの説明が書かれた広告が
あるんですね。
そこには、また共感を生む文章が
書かれているんです。
その内容は
「脳年齢が気になるあなたに。
脳が汗かく爽快感」
のようなことが書かれていて、
この文章を見たら人は
「脳のトレーニングに良いアプリなんだ。
最近物忘れがひどいからなあ。
このアプリをやれば、脳が若返るのか。
やってみようかな」
となるわけです。
気になったら、そのアプリを検索します。
そして、アプリインストール。
ラインの思惑通りです。
拡散
最初にターゲットを年配層と若者層を
狙っていると書きましたが、
年配層には実際にアプリを
インストールしてもらうために、
文章で共感させていました。
しかし、若者には響きませんよね。
まだまだ物忘れを気にする人は
いないかと思います。
では、若者層には何が狙いで広告を
見せているのか。
その狙いが、『拡散』です。
若者が拡散しようと思うものは
なんだと思いますか?
いろいろあると思いますが、
ラインの広告には大きく分けると
2つのポイントがあります。
それは
- おもしろ
- 映え
です。
50オーバーのおじさんが全力で
変顔している写真が、
電車内のいたるところにあるんです。
おもしろいじゃないですか。
おもしろいものを見つけたら、
人に教えたくなりますよね。
誰かに共有したいと思うはずです。
共有したくなったら、人に話したり、
実際に写真を撮って、人に見せたりします。
そうすると、伝えられた人は
また違う人にその話をするわけです。
それが、どんどん伝わっていくんです。
Twitterに載せたら、
拡散なんてすぐですよ。
あと、映え、インスタ映えですね。
映えますよ、辺り一面がおじさんの変顔。
こんなこと、
生活してて見れないですからね。
インスタにあげて、それを見た人が
見にきたりするでしょう。
ラインは、若者を利用して、
広告を電車に乗る人だけでなく、
日本中の人に広告を見せているんです。
ライン側は費用を何もかけずに、
勝手に若者たちがアプリを
広めてくれるわけですから、
メリットしかないですよね。
若者が営業をしてくれてるんですね。
もちろん拡散している本人たちは、
本当の意図を知らずに。
ずらし
最後が、『ずらし』です。
何をずらしているのかというと、
アプリの見せ方をずらしているんです。
ターゲットを変更しているとも言えますね。
まず前提として、
今回のラインが広告を出した目的は、
年齢が低めの層ではなく、
今までターゲットにしてこなかった
年齢層が高めの方に
アプリを入れてもらうことであることを
理解しておいてください。
元々、ラインポコポコは
子供たちに遊んでもらおうと、
アプリをリリースしたんです。
当時はパズドラなどのパズルゲームが
流行ってましたから、
ゲーム要素を強めにアピールして、
子供たちにおもしろいことを
広告で伝えていました。
が、今回はどうでしょう。
「このゲームおもしろいですよ」
なんて言ってないんです。
だって、年配の方は
「パズドラのようなゲームやりたい」
なんて思ってないんですから。
それじゃあ響かないわけです。
年配の方には何が響くのか。
『脳のトレーニング』です。
物忘れがひどくなった方に向けて、
認知症予防のために効果的なアプリで
あることをアピールしたんです。
そう言われると、
気になる年配の方もいますよね。
これ、実際のアプリの内容は
変わっていません。
何をアピールするのかを変えただけです。
「ゲーム性」から「脳トレ」の要素を
強くアピールしたんです。
内容は変えてないですから、
開発コストはかからないです。
見せ方を変えただけで、
新しいお客さんを獲得することが
できるんです。
まとめ
ここまでが、僕がライン広告を見て、
感じたことです。
おもしろいですよね〜。
こんなに計算された戦略が
あるんですから。
もしかすると、僕が考えたことが
間違っているかもしれませんが、
合っている可能性はかなり高いと
思います。
間違っていてもいいので、
こういった製作者側の視点で
考えることは、
かなり勉強になりますよ。
あと、普通におもしろいです。
今まで自分の視点でしか
見てこなかったとしたら、
違う視点を持つことで、
何もかもが変わって見えるはずです。
このようなマーケターの視点で
考えることは、
マーケターじゃない人にも
ぜひやってほしいと思います。
一度でいいので、
騙されたと思ってやってみてください。
絶対、ハマるはずです。
では、今回はこれで。
おまけ
電車広告の費用について
電車内に広告を出すとしたら、
いくらかかるのか知ってますか?
中吊り広告や窓上、ドア上など、
掲載する場所によって費用は異なりますが、
安いところだと
数千円で出せちゃうんですよ。
2千円で出せるところもあります。
これくらいで出せちゃうのって、
驚きじゃないですか。
普通の人でも簡単に出せちゃうんです。
もし自分が何かビジネスを
始めたりしたときは、
やってみてもいいですね。
たとえやらなかったとしても、
電車広告を出すという選択肢が
あることを知っているだけで、
何かに使えるときは
来るかもしれませんし。
あと、これ知ってる人少ないと思うので、
人に話してもおもしろがられると
思います。
話す話題がない時に、
誰かに話してみてください。
「こいつ物知りだな」って思われて、
頭良いやつ認定されるでしょう。笑
もちろん電車の種類によっても
異なります。
人が多く利用する山手線は高くなります。
安くても100万ちょっとかかります。
個人ではそこまでする必要はないですが、
電車広告は効果あるものですので、
気になった方はぜひ試してみてください。
では、ありがとうございました。
しいなま