なんとなくでマーケティング施策を打っていませんか?
「たぶん、この施策ならうまくいきそうだな」と感覚でやるのはマーケティングではないと、僕は思っています。
マーケティングとは、再現性高く成功するための手法です。
何の根拠もなく、ただやみくもに施策を打ったとしても、再現性は全くなく、うまくいく確率は限りなく低いでしょう。
僕たちマーケターは、再現性を限りなく高め、成功に導くためにマーケティングをしています。
そんなマーケティングにおいて、非常に重要な数式があります。
これを知らずにマーケターと名乗っている人がいれば、その人は”なんちゃってマーケター”なので、気をつけてください。絶対に仕事を任せてはいけません。
その数式をきちんと理解して覚えておけば、自身の事業のどこに問題があるのか特定し、特定した問題をどのように解決すべきなのかも判断できるようになります。
わからない人は今日、絶対に覚えて帰った方がいいですよ。それくらい重要なので。
マーケティングにおける重要数式
早速ですが、マーケティングというか、事業をやるのであれば、必ず理解しておくべき重要な数式がこちら。
売上 = imp × CTR × CVR × LTV
専門用語ばかり出てきてわかりづらいと思うので、もっと簡単にすると、
売上 = 認知 × 訪問率 × 購入率 × 一顧客が一企業で生涯に使う金額
これでもまだ理解できないと思うので、それぞれの構成要素を解説していきます。
imp(認知)
imp(impression)とは、広告やSNS上の投稿、サイトのタイトルなどが表示された回数を指します。
つまり、どれくらいの人に認知されたかを示す数値です。
どんな商品・サービスであっても、まずは多くの人に知ってもらわないことには売上につながらないため、認知されることが最初の工程になります。
CTR(訪問率)
CTR(Click Through Rate)とは、直訳すると『クリック率』で、広告やSNS上の投稿、サイトのタイトルなどをクリックして、自社サイト(店舗)に訪れてくれた人の割合を指します。
つまり、自社サイト(店舗)への訪問率を示す数値です。
自社を認知した人に商品・サービスを買ってもらうためには、URLをクリックして販売ページ(場所)にきてもらわないといけません。
CVR(購入率)
CVR(Conversion Rate)とは、直訳すると『コンバージョン率』で、自社サイトに訪問した人のうち、購入や問い合わせなどの最終成果に至った人の割合を指します。
つまり、自社商品(サービス)の購入率(契約率)を示す数値です。
当たり前ですが、自社商品の販売ページに来たとしても、商品を購入してもらわないことには売上につながりません。
LTV(一顧客が一企業で生涯に使う金額)
LTV(Life Time Value)とは、直訳すると『顧客生涯価値』で、一人の顧客が生涯にわたって特定の企業にもたらした利益を指します。
つまり、一人のお客さんが一企業で生涯に使う合計金額です。
人生で1回しか買わない商品であれば、1つの商品の単価が LTVになりますが、2回以上購入するのであれば、 LTVは高くなっていきます。
売上の計算例①
マーケティングにおいて重要な以下の数式ですが、ここで実際に例を出して計算してみましょう。
売上 = imp × CTR × CVR × LTV
例:自社サイトでプロテイン販売をしている企業の場合
・Web広告を出して、100万人に広告が届きました。
・100万人のうち、1万人が広告をクリックしました。
・1万人のうち、300人が商品を購入しました。
・その企業のお客さんは、生涯で平均1人10万円使います。
Q. 売上はいくらでしょうか?
先ほどの数式に当てはめてみると、以下になります。
売上 = imp × CTR × CVR × LTV
= 100万 × (1万/100万) × (300/1万) × 10万
= 100万 × 0.01 × 0.03 × 10万
= 3,000万
数式をマーケティングに活かす方法
マーケティングで重要な数式は理解できたと思います。
次は、実際にこの数式を事業で使うためにはどうすればいいのかを話していきます。
まず重要なポイントとして、『細分化』というキーワード。
細分化とは、読んで字のごとく、細かく分けることを指すのですが、マーケティング含め事業を進めていく上でこの『細分化』が非常に重要になってきます。
どういうことかというと、マーケティングをするにあたって、まずやらないといけないのは、自分の事業ではどこに課題・問題があるのかを特定することです。
どこが悪くて事業が伸び悩んでいるかを見つけるために、先ほどの数式を用います。
売上 = imp × CTR × CVR × LTV
この数式は『売上を4つの要素に細分化している』と見ることもできます。
つまり、この4つの要素に分解して各数値を確認することによって、なぜ売上が上がっていないのかを特定することができるのです。
・認知されていないことに問題があるのか
・認知はされているけど、訪問率が低いことに問題があるのか
・サイトへ訪問してくれているけど、購入率が低いことに問題があるのか
・購入はされているけど、顧客の単価や将来的に購入してくれる合計金額に問題があるのか
自分の事業では、どのフェーズが一番うまくいっていないのかを可視化できます。
どこに問題があるのかを細分化してわかれば、後はその課題の解決策を打っていくだけです。
どこを改善すべきか事前にわかった上で対策をするのですから、効果が出やすいのはわかると思います。
今までなんとなく施策を打っていたのであれば、そもそも改善すべき箇所が間違っていた可能性が高いです。
数式を見ればわかりますが、それぞれの要素は掛け算です。
何か1つでも0であれば、売上も0。
何か1つでも極端に低ければ、売上も大きく低下します。
つまり、何か1つに特化すればいいわけではなく、全部の要素を平均的に上げていくことが理想です。
わかりづらいと思うので、少し例を出します。
売上の計算例②
前提条件は『売上の計算例1』と同じにします。
前提条件:自社サイトでプロテイン販売をしている企業の場合
・Web広告を出して、100万人に広告が届きました。
・100万人のうち、1万人が広告をクリックしました。
・1万人のうち、300人が商品を購入しました。
・その企業のお客さんは、生涯で平均1人10万円使います。
売上 = imp × CTR × CVR × LTV
= 100万 × (1万/100万) × (300/1万) × 10万
= 100万 × 0.01 × 0.03 × 10万
= 3,000万
この場合、少しCTR(訪問率)が低いと判断できるため、CTRを改善する施策を打ち、1%上げることに成功したとしましょう。
すると、
売上 = imp × CTR × CVR × LTV
= 100万 × (2万/100万) × (300/1万) × 10万
= 100万 × 0.02 × 0.03 × 10万
= 6,000万
たった1%訪問率を上げただけで、売上が3,000万円も増えました。すごくないですか!
ここまでの影響力があるのです。
逆に、すでに十分あるimpをもっと良くしようと施策を打って、1万増やしたとしましょう。
すると、
売上 = imp × CTR × CVR × LTV
= 101万 × (1万/100万) × (300/1万) × 10万
= 101万 × 0.01 × 0.03 × 10万
= 3,030万
結果、30万円しか売上が増えていません。
一番足を引っ張っていた訪問率を改善した際と比べると、2,970万円もの差が生まれてしまっています。
間違った施策を打つと、どれだけ損失になるのか理解できますね。
原因を特定した後の改善施策
これまでの説明で、売上を細分化して、原因を特定することの重要性はわかっていただけたかと思います。
では最後に、特定した原因への対応策をざっくり解説します。
impの改善施策
impに問題があるとわかれば、認知拡大の施策を打っていく必要があります。
代表的な施策としては、以下の手段があります。
・広告(リスティング広告やFacebook広告などの有料で出す広告)
・SNS(TwitterやInstagramなどの無料で運用できるSNS)
・SEO(自身のサイトをGoogle検索結果で上位表示させる)
「どれから始めればいいですか?」とよく質問されるのですが、おすすめは『全部並行してやった方が良い』です。
なぜかというと、各手段のデメリットを補い合うことができるから。
たとえば、広告は初動が早く成果を出しやすいメリットはありますが、常に広告費がかかり続けてしまうデメリットもあります。
対して、SEOは成果を出すまで時間がかかるデメリットはあるのですが、継続するための費用はドメイン代とサーバー代くらいで、費用はほとんどかからずに集客し続けることができるメリットがあります。
つまり、それぞれのメリット・デメリットが逆になっているため、組み合わせることで、それぞれの欠点を補い合うことが可能です。
ぜひ広告もSNSもSEOもやりましょう。
もし社内でリソースがないのであれば、外注するのでも全然いいです。
ただ、結果を出さずに広告費だけ消費するような信用できない広告運用会社だったり、ブラックな手法を使うようなSEO会社もあるので、会社選定には気をつけてください。
この記事を見ているときはどうかわかりませんが、僕のリソースがあれば、僕がしっかり結果を出すので、興味ある人はこちらから連絡してください。
CTRの改善施策
CTRに問題がある場合、大きく分けると以下の2パターンあります。
パターン1:認知はしているけど、サイトに訪れてくれてない
パターン2:サイトには訪れているけど、商品販売(サービス申し込み)ページに来てくれない
それぞれのパターンで解決策が異なるため、別々に解説していきます。
パターン1:認知はしているけど、サイトに訪れてくれてない
このパターンは、Googleの検索結果をイメージしてください。
『認知している=検索結果に自社サイトが掲載されている』ということになるため、上位表示はできています。
ただ、自社サイトへのリンクがクリックされていないということです。
そのため、検索結果に表示される『タイトル』と『説明文』が検索ユーザーにとって魅力的でない可能性が高いです。
主にタイトルが重要なのですが、検索ユーザーの求めている情報はこのサイトにあることがしっかり伝わるタイトルにしておく必要があります。
ついクリックしたくなるようなタイトルを考えましょう。
パターン2:サイトには訪れているけど、商品販売(サービス申し込み)ページに来てくれない
このパターンは、販売ページまでの導線がサイト内でできていないです。
他のページ(記事)は読まれているけど、1ページだけ見て離脱されたり、何ページも見られているけど、販売ページは見られずにページを閉じられています。
そのため、記事の中に販売ページへのリンクを貼ったり、サイドメニューやカテゴリに販売ページへのリンクを設置しておきましょう。
CVRの改善施策
CVRに問題があるとわかれば、やることは大きく分けて以下の2つです。
・LPO(商品販売ページやサービス申し込みページの最適化)
・EFO(購入フォームやお問い合わせフォーム、資料DLフォームの最適化)
全部は解説できないですが、代表的な施策をそれぞれ解説します。
LPO(landing page optimization)
LPOとは、LP(商品販売ページやサービス申し込みページ)のデザインやコンテンツを改善することで、ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョン(商品購入や申し込みなど)を最大化させることを指します。
LPOで最も重要な箇所は、ファーストビューです。
ページを訪れた際に見える最初の文章やデザインによって、ユーザーは離脱するか判断するため、最初の訴求が最も重要になります。
以下2点はファーストビューを作成する上で、最低限考慮すべき内容のため、必ずチェックしてください。
・広告や検索でユーザーが期待していた内容だとわかる
・キャッチコピーや画像でユーザーが興味を持つ
ファーストビュー以外にも、CTA(申し込みボタン)やデザイン、読み込み速度、スマホ表示などいろいろありますが、長くなってしまうので今回は省きます。
EFO(Entry Form Optimization)
EFOとは、ユーザーがスムーズでストレスのない入力フォームにすることで、ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョン(商品購入や申し込みなど)を最大化させることを指します。
結構企業だと軽視されがちですが、コンバージョンするまでに必ずフォームを通るため、EFOは売上に直結する重要な施策です。
フォーム変えただけで、離脱率が30%とか変わるんで、ぜひ取り組んでください。
フォームで離脱する大きな理由は、大体が以下の2つです。
・入力が手間だと感じる
・エラー表示されて、入力意欲をそがれる
入力項目を減らしたり、項目ごとに補足の説明を入れたり、入力時点でエラー表示をさせたり、ユーザーが使いやすくなる工夫はいくつもあるため、1つずつやっていきましょう。
LTVの改善施策
impもCTRもCVRも問題なくて、LTVに問題があれば、そもそもの商品・サービス設計を見直すべきです。
これは「事業開発を頑張りましょう」ということです。
「マーケターがやる仕事ではないのでは?」と思うかもしれませんが、ここがマーケターの力の見せ所。
マーケターはただパソコン上で施策を打てるだけじゃなく、関わっている事業のこともしっかり理解していないといけません。
設計部分から関わって、より深くまで商品・サービスのことを理解できるほど、よりターゲットに刺さるマーケティング施策を打つことができます。
この施策が4つの中でも一番重要と言っても過言ではないくらいなので、ぜひ事業のことまで理解してくれるマーケターを探してください。
もしくは自分で商品・サービスの深くまで理解してから、マーケティング活動を行っていきましょう。
何をするにしても『細分化』
マーケティングで重要な数式は理解できましたか?
売上 = imp × CTR × CVR × LTV
上記の数式は必ず暗記してください。
そして、マーケティングをする際は数式に当てはめて、どこに原因があるのか見つけ、その後に改善策を打っていきましょう。
構成要素に分解して考えることが重要です。
マーケティングではなくても『細分化して考える』ことは重要なので、覚えておきましょう。